学びを通じてつないだ、地域企業のバトン

Business succession
幼少期から自然に芽生えていた「継ぐ」という意識
山形市とその周辺市町村を主なエリアとして、石工事およびコンクリート解体工事を手がける後藤石材店。従業員6名の小規模事業者ながら、地域に根ざした仕事を続けてきた同社は、2023年に大きな節目を迎えた。長年会社を率いてきた前社長から、後藤社長へと事業承継が行われた。
後藤社長は幼い頃から、前社長である父親に「いずれ会社を継ぐ」と言われて育った。特別な葛藤があったわけではなく、自然と事業を引き継ぐ心構えができていたという。承継のタイミングは、父親が70歳を迎えた頃。親子関係は良好で、現在も変わらず信頼関係は続いている。「父を安心させたい」という思いも、承継を決断する大きな要因となった。
「任せる」という言葉が突きつけた覚悟
代表交代に際し、前社長は後藤社長に「楽になるなぁ。あとは任せる」と声をかけたという。その言葉には、長年会社を守ってきた経営者としての安堵と、次の世代への信頼が込められていた。
一方で後藤社長にとって、その一言は経営の責任を全面的に引き受ける覚悟を求められる瞬間でもあった。代表という立場の重みを、はっきりと自覚した出来事だった。
親子だからこそ苦しかった経営判断
承継直後、後藤社長が最も苦しかった判断の一つが、前社長の役員報酬を見直すことだった。会社を将来につなぐためには避けられない決断ではあったが、親子という関係性の中で行うには大きな葛藤があったという。
しかし前社長は、その判断を素直に受け入れた。その姿勢に、後藤社長は深い感謝の気持ちを抱くと同時に、「この会社を守り続けなければならない」という責任の重さを、改めて胸に刻んだ。
経営を「学ぶ」必要性に気づいた事業承継
事業承継の過程で、後藤社長は一つの現実に直面する。前社長は現場や人を守ることには長けていたものの、経営について体系的に学ぶ機会は多くなかったという事実である。この気づきは、後藤社長にとって大きな衝撃だった。
その一方で、後藤社長自身は同友会に通い、他社の事業承継事例や経営者の実践に触れてきた。そこで得たのは、経営は経験や勘だけで成り立つものではなく、学び続けることで磨かれていくものだという認識である。
代表となって実感した、会社を動かす責任の重さ
代表に就いてから後藤社長が強く意識するようになったのが、会社全体を安定して動かし続ける責任である。現場にいるだけでは見えなかったお金の流れや支払いのタイミング、将来を見据えた判断が、日々求められるようになった。
目の前の仕事をこなすだけでなく、「この先も会社が続いていくかどうか」を常に考える立場になったことで、経営者としての視点は大きく変わったという。
早期承継がもたらした「頼れる存在」という強み
後藤社長は、事業承継を早めに行ったことを大きなメリットとして挙げる。前社長が元気なうちに承継したことで、分からないことや迷いがあればすぐに相談できる環境があった。
次の世代へつなぐために
この事業承継の経験を、後藤社長は次の世代へ伝えたいと考えている。現社長の子どもや、将来会社を継ぐ立場になる人たちにとって、一つの事例として参考になればという思いからだ。
有限会社後藤石材店
〒990-0825
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