経営計画

Business Plan

上山の町のお菓子屋が「転換期」を選んだ理由

経営スタンスは「お客様に正直であること」

秘密主義からの脱却が、事業承継を「着地」させた

大正7年創業、従業員23名。上山市で長く愛されてきた菓子店・株式会社山からは、看板商品の「かみのやまシュー」を軸に、地元を拠点としながら全国展開を進めている。人口減少が続く地域環境のなかで、同社が選んだのは「地元を軸に、外へ価値を届ける」という道だった。
社長就任8年目の高橋社長が自社の現在地を表す言葉は「転換期」。その出発点は、就任当初の“現状把握の難しさ”にあった。先代の経営方針は秘密主義で、数字も判断基準も共有されない。まず会社の状態を掴むところから経営が始まったという。「引き継いだのに、見えていない」――多くの経営者が経験する苦しさを、同社も通ってきた。
しかし今、高橋社長は「事業承継が完全に着地した」と語る。権限移譲だけでなく、情報の開示、役割の整理、意思決定の一本化までをやり切って初めて、組織は次の成長に目を向けられる。転換期とは、承継を終点にせず“次のスタート”に変える時間でもある。

経営スタンスは「お客様に正直であること」

転換期を支える軸は明快だ。高橋社長が「守るべきもの」として挙げるのは、“お客様に正直であること”。商品や価格、品質、対応――どれも目先の都合で濁さない。地方企業ほど評判は一瞬で広がり、信頼の積み重ねが命綱になる。誠実さは理念に見えて、実は最強の競争戦略だ。
この姿勢は、社内にも跳ね返る。お客様に正直であろうとすると、現場の課題が隠せなくなる。だから改善が進む。だから人が育つ。業種が違っても、「正直さを貫くほど経営は強くなる」という実感には共感が集まるはずだ。

お客様の一言が、看板商品を進化させた

「かみのやまシュー」が飛躍したきっかけは、コロナ禍で起きた生活者の変化だった。備蓄需要、巣ごもり需要。そこに“冷凍できる”という特性が噛み合った。だが決定打は市場分析ではなく、現場に届いた声だった。
ある日、お客様から「冷凍したら美味しかった」という一言が届く。その一言がヒントとなり、開発が一気に進み出したという。冷凍だからこそ、遠方のお客様にも「おいしい状態」で届けられる。製造だけでなく、品質基準や梱包、出荷のオペレーションまで含めて整えることで、地元の菓子が“全国で選ばれる商品”へと姿を変えていった。顧客の体験価値を拾い、形にする力――それが同社の全国展開を支えている。

「共有する計画」が人を育て、組織を強くする

高橋社長は「経営指針をつくる会(28期)」で、出たとこ勝負の経営から、未来を描く経営へ転換した。ポイントは“計画と状況の共有”だ。会社の現在地を見える化し、同じ地図を持つことで、従業員の空気感が良くなったという。秘密を抱え込む組織は不安が増殖し、情報を開く組織は当事者意識が育つ。これは菓子業界に限らず、どの業界でも再現性のある真理だ。
同社の3年計画の柱は「人材育成・効率化・販路拡大」。機械化による効率化を進めるのは、現場の負担を減らし、より価値の高い仕事(品質の安定、改善、接客、商品づくり)に時間を振り向けるためだ。そして組織力の強化として、従業員から女性役員を登用し、社外取締役も迎える。現場に近い視点と外の視点を同時に入れ、判断の質を上げる狙いがある。
その根底に置くのは「利他の心」。高橋社長は、今の日本人が忘れかけている心を組織で養ってほしいと語る。利他は綺麗事ではない。お客様に正直であること、仲間を尊重すること、地域で商いを続けること――すべてが会社の持続性をつくる実務そのものだ。
上山という町から全国へ。転換期の舵取りは、数字と仕組みだけでなく、人と心を中心に据えた経営計画によって、着実に前へ進んでいる。

株式会社山から

〒999-3134
山形県上山市矢来2-1-41
TEL:023-672-3357
FAX:023-672-3353

【オンラインショップ】
https://yamakarashop.com/?srsltid=AfmBOorjEQRHRLmr-bxNbM3l4Ri5yeiG0dNMEY5qKgv4v3f_ZGKx10ec

参考になるセミナーはコチラ

Reference

該当のセミナーはありません

TOP
知る会 イベント情報 お問い合わせ