斎藤マシン工業株式会社は、金属部品をつくる中小企業です。

「社員の働きやすさ向上」に取り組みに力を入れており、近年の人手不足が叫ばれる近年でも新卒採用や人材の定着が継続できている点にも注目です。今回は同社の特徴的な取り組みを「自分で選べる勤務時間」「地域との結びつき」「経営指針と「共に育つ教育」の融合」という観点から紹介します。

斎藤マシン工業では社員一人ひとりが自分で勤務時間を選べる制度を導入しています。基本となる就業時間（8時～17時）はあるものの、個々のライフスタイルや家庭環境を踏まえた柔軟な働き方が可能です。例えば、「今日は歯医者に行きたいから早く帰りたい」という時には6時～15時、「幼稚園に子供を送ってから出社したい」という時には10時～19時の勤務時間に変更可能。業務に支障をきたさないという条件はありますが、前日に上司に申請するだけで勤務時間を毎日変更することができます。

　子育てや介護といった家庭の事情を抱えた社員にとっても「無理なく続けられる環境」が用意されています。現場で働く人の「ワークライフバランス」を重視する姿勢は、多様な人材が安心して長く働けるための大きな土台です。

社員の定着を支えるもう一つの柱が、地域イベントや地元高校との連携です。

同社は各種学校のイベントや出前授業、地域内の清掃活動などのボランティア活動へも積極的に取り組んでいます。これにより、職場だけでは生まれない社外コミュニティとの“つながり”を醸成。

社員は「自分は会社だけでなく、地域社会ともつながっている」という心理的な安心感を得られます。こうした地域密着型の取り組みは、新入社員にとって入社のハードルを下げるとともに、入社後の「居場所感」や「誇り」にも直結しています。

斎藤マシン工業が加盟する中小企業家同友会では、人材育成や経営指針制定にも力を入れています。同社は同友会が掲げる「共に育つ」ことを経営指針や社内にも取り入れ、上司や同僚が共に成長し合う環境づくりも進めています。

新入社員に向けては「3年間で一人前を目指す」ことを全社員で共有し「ものづくり」の基礎から丁寧に指導します。また、定期的な社外カウンセラーとの面談の機会や年齢・部署を超えたコミュニケーションの機会も定着のポイント。経営陣自身が「社員とともに学び、“いい会社”を目指す」という姿勢を持ち続けており、社員の成長意欲ややりがいを引き出しています。

柔軟な働き方、地域との深いつながり、「共に育つ」経営――。この三本柱が、斎藤マシン工業の独自の採用力と社員定着力を支えています。伝統と革新が息づくこの企業には、「社員を大切にする」温かさとユニークさがあふれています。